【2021年版】フローチャートで見つける、目的に合わせた最適な NAS の選び方

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この度、家庭の NAS を置き換えるにあたり、徹底的にNASの市場調査を行いました。その中で見えてきた最適なNAS選びについて本記事にまとめています。

導入の目的やNASに対するこだわりは個々異なるものかと思います。簡単なフローチャートにまとめることで、どのようなNASがお勧めかを実際の製品を踏まえてご紹介いたします。

また、こちらの記事で目的にや環境に合わせたNASの選び方というのを紹介しております。NAS選びの際に合わせて参考にしていただければと思います。




フローチャートから自分に合ったNASを見つける

家庭やオフィスにNASを導入する時、どういう人がどのようなNASを選ぶのがよいのか?簡単にフローチャートを作成してみましたのでご紹介します。

NAS選択フローチャート

PCを持っていないことにはNASキットでの自作NASは厳しいということで、完成品NASをお勧めしています。

また、たとえPCを持っていたとしても、難しい設定はしたくなかったり特に強いこだわりがない場合も完成品NASをお勧めしています。

あと、NASキットでの自作NASは何か問題が発生した場合に自分で解決するスキルがある程度ないと難しいかもしれません。

というのも、HDDやメモリなど別売りのものを自分でそろえる必要があり、それらのパーツでNASをくみ上げ問題があったとき、製品保証の訴求をどの部品に対して行っていくかを判断するのが自分になるからです。

完成品であれば、何か問題があった時はそのメーカーに何も考えずにお願いできるので非常に楽です。

自作NASのメリットとしては完成品に比べて非常にコスパがよいです。同スペックの完成品NASを並べると価格は倍近く違うものとなる場合もあります。

自作の難易度もそこまで高度な知識を要求されるわけでもなく、セットアップ手順も様々なサイトがマニュアル以上に詳しく解説してくれているので、メジャーどころを選択しておけば、自作NASであってもさほど困ることもないでしょう。

メリットデメリットを踏まえて、自身にあったNASを選択していくことが大事です。

目的に合ったNASを選択する

ここからは完成品NASを選ぶにあたり、フローチャートに合わせてどのようなNASを選ぶのがよいか、実際に製品を取り上げてご紹介していきます。

RAID1が構築できるNASでHDDの故障に備える

先ほどご紹介したフローチャートで思い出の写真や動画などのバックアップに適したNASのご紹介になります。

思い出の写真や動画などのバックアップに適したNAS

まず何より優先したいのが、バックアップデータがHDDの故障で消えてしまうのを防ぐためにRAID1を構成できる製品を選びます。RAID1はHDDを二基搭載し、二基のHDDにデータを書き込んでおくことで、片方が壊れても復旧できるような仕組みです。

もちろん、HDD以外の別の箇所が故障してしまったりするリスクもあります。ただ、HDDはメカ部品が多く、半導体の故障率と比べると故障率は高いので、故障しやすい箇所を冗長化してケアする目的があります。

また、RAIDに頼らず外付けのHDDなどにバックアップを別に取るという手もあるかもしれません。ただ、なるべく手間やコストをかけずに最低限のデータ保護を実現するという意味でRAID1のシステムを選択しました。

注意点としてはRAID1は二基のHDDを使うので、メーカーのカタログスペック値より容量が半分になる点です。メーカーは例えば4TB×2の製品の場合はカタログに8TBと書いていますが、RAID1を有効にした場合は4TBになります。

これらを踏まえて、お勧めのHDDをご紹介します。

写真や動画の保存に最適 LinkStation LS220D0202G(バッファロー)

バッファローのLinkStationシリーズは比較的安価なビギナーモデルというイメージがあります。ただ、安価であってもRAID1が組めるのも魅力です。私も最近までは古いLinkStationの1TBモデル(512GB RAID1)を使用していました。

比較的安価でありながら、容量2TB(1TB RAID1)なので写真、動画のバックアップであれば十分対応できるかと思います。

スマホだけでも容易にNASの設定が可能であったり、TV録画のダビング、外出先からNASへのアクセスなど昨今NASに求められる基本的な機能はしっかり押さえられています。

まずはこのNASでNASがどういったものかを体験してみるのもいいかもしれません。

写真や動画の保存に最適 LAN DISK HDL2-TA4/E(IO-DATA)

IO-DATAの比較的安価なモデルで容量4TB(2TB RAID1)にも関わらず安価でコスパのよい製品です。

RAID1構成によるデータの保護はもちろん、外出先からのリモートアクセスにも対応しています。

ただ一点、残念なのが、大容量にも関わらず録画番組のダビング機能には対応していません

TV番組のダビングには使わない方であれば、先に紹介したLS220D0202Gよりもこちらの製品をお勧めします。

低価格大容量NASで番組ダビング

レコーダーの容量を空けるために録画したテレビ番組のダビングを主な目的としたNASのご紹介になります。

低価格大容量NASで番組ダビングできるNAS

テレビ番組のダビング用途では、よほど大事なダビングでない限り、データの保護でHDDを冗長化するよりも低価格大容量を優先することをお勧めします。

なぜなら、番組ダビングは見れば消して見れば消してを繰り返す用途であり、HDDを酷使する分、寿命も短くなることが想定されます。また、ディスクの断片化などによる速度の遅延も発生するかもしれません。

こういった観点からダビング用NASはあくまで消耗品という位置づけで考えておいた方がよく、消耗品であれば安くて大容量の方がよいという理論です。

レコーダーの録画ビデオのダビングに最適 LinkStation LS210D0401G

このLinkStationはHDD1基のシンプル構成で4TBと大容量にも関わらず20,000円を切る価格でかなりコスパはよいです。

TV録画のダビングは地デジで約498時間(ハイビジョンの場合は約249時間)と十分、スマホでの初期設定外出先からNASへのアクセスなど昨今NASに求められる基本的な機能はしっかり押さえられています。

壊れるまで使い倒して、壊れたら買い替えるという用途にぴったりのNASではないでしょうか。

仕事の大切なデータに高速アクセスできるNAS

仕事で使うデータを管理する目的に最適な完成品NASをご紹介します。

仕事の大切なデータに高速アクセスできるNAS

大切な仕事のデータということで、RAIDによるデータ保護の構成を取れることはもちろん、ネットワークアダプタも高速アクセスできることが求められるかもしれません。

また、データ保護もRAIDに頼るだけでなく、定期的な外部ストレージへのバックアップも必要となります。

このような条件に当てはまる、お仕事に最適なNASをご紹介します。

仕事のデータ管理・共有に最適 TeraStation TS3420DN0804

中規模のオフィスくらいまでカバーできるスペックを十分に持ち合わせたNASです。HDDは4基搭載でRAID10を構築することができます。

RAID10とはRAID0の特徴であるデータを分散して読み書きすることで、高速化する機能RAID1のミラーリングによるデータ保護の両方を持ち合わせた構成で、大規模オフィスでのネットワークストレージの構成にも採用されています。

そして、ネットワークアダプタも2.5Gbpsに対応することで、RAIDの高速HDDアクセス機能との併用で1Gbps以上のスループットを実現しています。

ただ、データを冗長化して管理していても定期的なバックアップは必要です。本NASはUSB接続されたHDDドライブもしくはネットワーク上の別のNASに定期的にバックアップを取る機能があります。

クラウドへのデータ保存やホットスワップ機能(NASを落とすことなく故障HDDを入れ替える)など業務用途として必要な機能を一通り備えているので、短時間でオフィスもしくは仕事用のネットワークストレージ環境を構築したいという方にお勧めです。

10Gbps対応 LAN DISK X HDL4-XA4

LAN DISK X HDL4-XA4は安価ながらも10Gbps LANを搭載した業務向けのNASになります。

RAID6でのデータ保護はもちろん、エクスプローラーから右クリックで簡単にファイルを復元できるシャドウコピー機能(私も仕事でシャドウコピーには何度も助けられました)やActive Directoryのドメイン管理に基づいたアクセス権の設定など、業務で複数人でファイルを共有する際に必要な機能がそろっています。

外部へのバックアップもUSB接続したHDDへ差分・フルバックアップに対応しており、Arcserveなど多様なバックアップソフトもカバーできているので、非常に選択肢が豊富でユーザーに合わせた環境が構築できます。

UPSとも連動しているので、不意の停電や事故にも安心です。

NASキットのお勧め3選

続いて自分でHDDやNASキットを購入して作り上げる自作NASをご紹介します。

自作NASは先ほどのフローチャートでいうところのNASに対して細かい要望があったり、よりコスパのよいものを入手したい人向けの選択肢になります。

自作NASでNAS環境を構築

PCを持っていて、ネットワークルーターを設定できるくらいのネットワークに関する知識、あとは手順通りに設定を進められる方であれば、誰にでも自作することはできると思います。環境を構築することに限って言えば、敷居は低いです。

最も気を付けなければならないのは、セットアップや作り上げることではなく、何か問題が発生した時です。

HDDの故障なのか?NASキットの故障なのか?ネットワークの故障なのか?その他拡張デバイスの故障なのか?メモリの相性なのか?

できることや自由度が高まる分、問題が起きた時の切り分けが難しくなります。そして、何が原因かを調べるのもメーカーではなく自分自身になります。

こういった手間をかけられる人であれば非常にコスト的にも機能的にも魅力的なNAS環境を構築することができるでしょう。ここからはいくつかNASキットをご紹介します。

DiskStation DS220j

価格コムで売れ筋1位を獲得するほど、コスパに優れた製品です。なにより、完成品NASを抑えて堂々一位というのを見ると、昨今NASを自分で組み上げるのは当たり前の時代になってきたのだなぁと感じます。

まず低価格ながら2ベイスロットがあり、16TB HDD×2まで対応しているので、安価にRAID構成の大容量NASが組みあがるという点です。

データのバックアップ先にも、ローカルフォルダ、外部USBデバイス、別の NAS、クラウドでいうとGoogle Drive、Amazon Drive、Dropbox、Microsoft Azureなどなど様々なストレージにバックアップすることができます。

DTCP-IPは追加でライセンスを購入することで、対応できるので、自宅のレコーダーから録画番組の移動にも対応しています。

NASキットの入門機としてお勧めの製品になります。

QNAP TS-251D

NASキットでコスト拡張性のバランスが取れたモデルがTS-251Dになります。

導入にあまりコストはかけたくないけれど、今後、新しい機能やストレージサイズを増やす際にまた買い直したくないという要望を叶えてくれる製品になります。

本製品はRAID機能やTVのダビング(DTCP-IPの対応、正しDLNAケーブル規格には非対応)、外出からNASへのアクセスなど必要な機能を搭載しているのはもちろん、PCIeの拡張スロットを搭載していたり、メモリを増設できたりとハードウェアとしての機能も非常に優秀です。

特にPCIeスロットにはQM2という拡張ボードで10GbE+M.2 SSD(SATA)×2を増設することができます。M.2 SSDはキャッシュとして利用したり、自動階層化ボリュームとしてストレージプールを拡張、高速化することができます。

最初は1Gbps LANで、状況に応じて10GbEに拡張したり、HDDを少しづつSSDに置き換えたりと最終的なコストパフォーマンスは最も高くなるのではないでしょうか。

QNAP TBS-453DX-8G

まさにロマンしか感じないNASがこちらのTBS-453DXです。

10GbEに最大4基のM.2 SSD(SATA)、RAID0を組むことでLAN経由で実測Read/Writeで700~800MB/s程度出るというまさに最新鋭のNASです。

10Gbpsの理論値である1200MB/s出ないのはNASのCPUがボトルネックになっているからのようですが、PCのSATA接続SSDの実測が500~600MB/s程度と考えると十分な速度です。

M.2SSD前提のデザインなので、サイズも非常にコンパクトで置き場にも困らないのもよい点です。

おわりに

様々なお勧めNASをご紹介しましたが、完成品はバッファロー、IO-DATAの二択で、NASキットは台湾メーカーが強いといったところでしょうか。

色々調査していて感じたのが、NASキットで自分でNAS環境を構築する敷居がだいぶ低くなってきていると感じました。それはECサイトの売れ筋やNASキット関連の記事の多さからによるものです。

QNAP TS-251Dに関して言えば、以下の記事でNASのセットアップについてまとめておりますので合わせてご覧ください。

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