NAS購入の際に SMB がサポートされているかどうかを調査することはまずないと思います。なぜなら、SMBは当たり前のようにサポートされている規格であり、使えて当然だからです。
しかし、SMBにはバージョンがあり、NAS製品毎に対応しているバージョンも異なっています。
今回はSMBのバージョン毎に性能を確認し、バージョンによる優位性はみられるのかを確認してみたいと思います。
SMBのサポートバージョンはNAS製品毎に異なるのか?
そもそもサポートしているSMBのバージョンはNAS製品ごとに異なるものなのでしょうか?バッファロー、IO-DATAの製品をいくつかピックアップしてご紹介します。
バッファロー LS411D0401X
テレビ録画、視聴用のNASです。こちらに仕様がまとまっています。抜粋したものが以下になります。
SMBとしか記載がなく、バージョンは不明です。マニュアルを見てみましたが、同様にSMBのみの記載しかありませんでした。
バッファロー LS220D1202G
LinkStationはHDDを2基搭載したいわゆる家庭用NASのスタンダードモデルです。こちらに仕様がまとまっています。
こちらはSMB2.0まで対応とバージョンまで記載されています。
IO-DATA LAN DISK A HDL2-AAX8
こちらはネットワークアダプタに2.5GbEを採用した高速モデルです。仕様はこちらにまとまっています。
御覧のようにSMBの3.1.1まで対応しています。
カタログ表記、対応バージョンは製品によってまちまち
以上のように、全ての製品がSMBに対応していましたが、バージョン不明のものや2.0までしか対応していないもの、3.1.1まで対応しているものなど製品によって異なりました。
SMBのバージョン毎の性能を比較する
それではSMBのバージョン毎にどの程度の性能差があるのか比較していきます。
比較はQNAP TS-251Dを使って行います。設定でSMBのバージョンを変更できるので、バージョン変更して再接続した後、Read,Writeの性能を計っていきます。
設定方法
一応設定方法を説明しておきます。NASの管理画面からコントロールパネルを選択し、Microsoft ネットワークを選択します。
詳細オプションを選択して、バージョンを指定すれば完了です。
接続しているプロトコルが何かを調べるのはPowerShellを起動してGet-SmbConnectionを実行します。
このように変更前と変更後でDialectのところのバージョンが変わっています。
バージョンを変えて性能を比較してみる。
SMBの3.1.1、2.1、2.0.2の3パターンで性能を測定しました。なお、バージョン1はWindow10のPCからは接続できなかったので、除外しています。
SMB 3.1.1
SMB 2.1
SMB 2.0.2
バージョンで性能はほぼ変わらないという結果になりました。逆に3.1.1よりも古い2.0.2がランダムアクセスは若干早いという逆転の結果になっています。
よってNASを選ぶにあたって、SMBのバージョンはさほど気にしなくても問題ないかと思います。
おわりに
SMBのバージョンがあるのは知っていましたが、まさか性能にほとんど違いがないとは思いませんでした。
もちろんプロトコルの違いによる多少の性能差はあるとは思いますが、HDDのアクセスやネットワークの性能に隠れてしまう程度ということが確認できました。
一点、注意として、製品によっては性能差が出てしまうものもあるかもしれないという点です。
プロトコルを処理するソフトウェアやハードウェアの実装に依存するところもあり、その作りによっては性能差として見えてしまう可能性もあります。
今回は最新の3.1.1が最速とはなりませんでしたが、なるべく新しいバージョンをサポートしたNASを選択しておくことをお勧めします。
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